97bd1a6e.jpg寝台バスは日本では道交法の規制上存在せず、日本で「寝台バス」と呼ばれているものは「夜行バス」である。

中国本土では、当たり前のように「寝台バス」が国内交通の要になっている。

その造りは、幅60センチ程の狭い2段ベッドが縦に3列に並ぶ不思議な造りだ。

車内は一応に「土足厳禁」で、室内履きを渡されたり、暗い夜中に手元を照らすライトを渡されたりと、何やら大仰だが、基本的に日本の「サロン・バス」よりも造りは簡素でトイレなども付いていないため、数時間おきにサービス・エリアの様な場所で、「トイレ休憩」や「軽食補給タイム」があるのは国内の高速道を走っているのと何ら変わりない。

僕自身は、夜中に起きてトイレに行ったり、水分補給をしたりしない習慣なのであまり関係ないが、寝しなの夜中に周りがザワザワすると、意味も無く何処かも分らないまま、カメラ片手にバスを降りては寝ぼけ眼で写真を撮ったものだ。

中国の「寝台バス」も、日本の「夜行バス」も、いわば宿泊施設一泊分を移動機関でセーブするかのような客がほとんどなので、コミュニケーションもないし旅の風情のかけらも感じられないが、窓際のベッドで真夜中に暗闇の中に降り注ぐかのような流れ星を見ながら寝入る夜は、ロマンティックを通り越してメランコリックな気分になってくる。

この寝台バスの多くは僕の場合、中国の雲南省で乗りまくったが、朝方に目的地に着き、地元のバス・ターミナルで眠気眼ですすった米線の味の記憶が、雲南省での鮮烈な思い出だ。