マカオの定宿に「オキニ」が見当たらないときは、新たなオキニを模索すべく賓館内での人間関係を「再起動」させる。もうかれこれ十何年来してきたことなので、ルーティーン・ワークの様なものだが、それはそれでさすがに疲れる。
賓館事情を知らないかのような、「うぶな」姿勢で小姐達に接していても、賓館のスタッフ達は僕のことを知り尽くしていて、機会があれば小姐達に僕の素性を「チクル」し、マカオでの弟分達が入れ替わり立ち代り定宿を出入りしては（１〜２ヶ月ぶりにもかかわらず）「お久しぶり」の挨拶を交わすのだ。
それでも友人だとか、知り合いだとかでごまかせるので、本性を露呈する前にある程度の人間関係を作っていく必要がある。
その時々の小姐達の、賓館内での勢力バランスも把握しなければならなく、「オキニ」がいないときはいないなりに、なかなか面倒くさい。
さすがにここ最近は、「オキニ」たちの誰かしらは定宿にいるし、「オキニ」がいなくてもリーダー格の中に僕の定宿内での存在意義を把握している小姐がいるため、そんな気も使わなくなったが、今後無きにしもあらずだ。
どんな場所にあっても、人間関係の構築には、いじられ放題いじられる「いじられキャラ」を演じるのが手で、「無知」で「無能」で「使えない」ふりをするのが一番いい。
そんなふりも、１〜２日限りの事なので。
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