中国は雲南省滞在中、実は一度だけワインを飲んだ。長らく辺境の地を旅していると、旨い飯にありつくことが困難な地なだけに、やたらと「手っ取り早い」ジャンク・フードが食べたくなる。
僕の場合の三種の神食は、カレー、ラーメン、牛丼なのだが、それ以外にもビッグ・マックやサイゼリアのパルマ風スパゲッティなどが、準・神の地位にある。
宗教的解釈で言うと（注；宗教関係者の方は、どうぞ他のサイトへ行ってください。）、カレー・ラーメン・牛丼がトリ二ティー（三位一体）を形成する唯一絶対神だとすると、サイゼリアのパルマ風スパゲッティは多神教であるヒンドゥー教のシバ神（破壊の神）的な存在である。（ではビッグ・マックはヴィシュヌ神か？ ここでヒンドゥー教の三神一体論はやめよう。）
雲南省にあって、カレーやハンバーガーはＤＩＣＯＳ（徳克士）で食べれた。
ラーメンは米線で妥協した。
牛丼は香港に帰るまで我慢しよう。
残るは、サイゼリアのパルマ風スパゲッティ。
これが、実は西双版納自治州の州都・景洪でありつける。
景洪は海外からの旅行者向けの施設が結構充実した街で、日本料理やファースト・フードのみならず、ピッザやパスタなどのイタリアンも（中国レベルで言えば）そこそこのレベルのものが食べられる。
バック・パッカーにはすこぶる有名な「メイ・メイ・カフェ」や「ヨー・ヨー・カフェ」など、それを目当てに来店する西洋人も多い。
これらの場所ではデフォルトで英語が通じるし、雰囲気も西洋的なので、オーダー時に自分の好みの調理法を事細かに頼む事ができる。
僕がメイ・メイ・カフェを訪れたときは、はなからワインを飲むつもりだったので、「トマト・ソースド・スパゲヘッティ」も「フル・オブ・モア・ガーリック」で頼んだのだが、ワインの選択に困り「このパスタに合うのをくれ！」と頼んだ所、「当店では『グラス・サービス』をしていません。」と言われる始末。
日本男児も馬鹿にされたものだな〜と思いながら、「分かってる。ボトルでくれ！」と言うと「Ｏ．Ｋ．ラ！」で持ってこられたのがこの「雲南紅」だった。
味は.......
中国辺境の地が、まるで東京の地元のサイゼリアにトリップしたかの心地だった。
フル・ボトルの雲南紅も、あまりの心地よさと夢にまで見たパスタにありつけた充実感で、３０分程で空にした。
結論を急ぐと、「雲南紅」はまるで、サイゼリアのハウス・ワインに激似だった。
生き返った。
まだ辺境の旅を続けられると確信した。
吉野家の牛丼の夢を見る迄は。
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